矯正治療は歯並びだけじゃない?痩せやすくなる習慣も身につく理由
矯正を始めたら、なぜか体重が減った?
「矯正を始めてから間食が減った」「なんだか食べる量が減った気がする」そんな声を患者さんから聞くことがあります。実際、矯正治療中は食生活や生活習慣が変わることが多く、結果として体重に変化が出る人もいます。この記事では、矯正治療とダイエットの意外な関係について、歯科医師としての視点から詳しく解説していきます。
1. 矯正治療の種類と食生活の変化
矯正治療には大きく分けて「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正(インビザラインなど)」の2種類があります。それぞれの特徴によって、食生活への影響が異なります。
■ ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯に装置が固定されており、食べ物が引っかかりやすいため、自然と「間食しにくくなる」「だらだら食べるのが面倒」と感じる人が多くなります。特に、食後にはしっかりと歯磨きが必要なので、間食のたびに歯ブラシをする手間がかかります。結果的に、1日3食をしっかりと食べる生活に整ってくる人が多いのです。
■ マウスピース矯正
一方で、マウスピース矯正は「食事のたびにマウスピースを外す・洗う・また装着する」というプロセスがあります。そのため、「面倒だから食べる回数を減らそう」と考える人も少なくありません。食べる時間が限定されることで、間食が減り、自然と摂取カロリーも減少しやすくなります。
2. ダイエットが成功する人と矯正に向いている人の共通点
ダイエットがうまくいく人の特徴として、
- 継続力がある
- 自己管理ができる
- 規則正しい生活ができる
という点が挙げられます。
これはそのまま「矯正治療をスムーズに進められる人」の特徴と一致します。決まったペースで通院し、口腔内の管理を怠らず、治療に対して前向きな姿勢で取り組める人ほど、治療もうまくいきやすいのです。反対に、時間にルーズで通院を忘れる・指示通りに装着できない・歯磨きを怠るといった行動が見られる人は、ダイエットも失敗しがちな傾向があります。
矯正治療は長期にわたるものだからこそ、自分と向き合う力が必要です。それは、ダイエットの継続とよく似ています。毎日の積み重ねが大きな変化を生むという点で、両者には多くの共通点があるのです。
3. 矯正中に実際に痩せる?痛みと食事の関係
矯正治療中には、装置の調整やマウスピースの交換により「歯が浮くような痛み」が生じることがあります。
■ ワイヤー矯正:
月1回の調整後2〜3日は、噛むことが辛く、やわらかいものしか食べられないことも。食欲が減る人も多く、一時的に体重が落ちることもあります。特に、装置装着直後は「何を食べよう…」と悩むほど痛みを感じる方もいます。その結果、普段よりも食事量が自然と減少し、ダイエットに近い状況になることがあります。
■ マウスピース矯正:
週に一度の交換により、軽い違和感や痛みが出る人も。硬い食事を避けたり、食事時間が短縮されたりすることがあります。さらに、食後の歯磨きやマウスピースの洗浄が面倒で、「お菓子はいいや」となることも多いです。ただし、個人差が大きいため「まったく痛くなかった」「普通に食べていた」という人も少なくありません。
4. 外見の変化が意識の変化に
矯正治療のもう一つの大きな効果は「見た目の変化による自信の向上」です。きれいな歯並びになることで、自信を持って笑えるようになる人は非常に多く、それがきっかけでダイエットや美容、ファッションに興味を持ち始めることも。
「自分のことをもっと好きになりたい」「もっときれいでいたい」 そんな思いがモチベーションとなって、結果的に食生活が整ったり、運動を始めたりといった変化につながるケースもあります。
見た目の変化が内面の変化を引き出し、自分自身をより大切に扱いたいという気持ちが強くなる。この心理的な変化もまた、習慣改善の大きな原動力になります。
5. まとめ:痩せるために矯正するのではなく、整った生活のきっかけに
矯正治療をすると必ず痩せるわけではありませんが、
- 食生活の変化
- 自己管理の習慣化
- 見た目の変化による意識の向上
といった側面から、生活全体を整える良いきっかけになるのは確かです。
ダイエットも矯正も「自分を大切にすること」が共通のキーワード。
どちらも、“短期的な結果”ではなく、“長期的に自分を整える”という視点でとらえてみてはいかがでしょうか。
今日の小さな変化が、半年後、一年後の大きな変化につながるかもしれません。